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フェレットについて |
あひる隊長発見! | ネルくんジャーンプ!!! | あひる隊長とお散歩♪♪ |
写真は患者さんだったネルくん。あひる隊長とお散歩。8.5歳まで生きることが出来ました。 外傷、副腎疾患、インスリノーマ、胃内異物、リンパ腫といろいろありました。 でも定期的な健康管理・治療と自由な飼育形態 (ちょっと問題も…)が長寿につながりました。 |
副腎疾患 | |
写真は重度の副腎疾患による脱毛。 大部分のフェレットが副腎疾患になります。 極端な表現になりますが、フェレットは副腎が暴走する動物です。 |
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フェレット=副腎ってくらいフェレットは副腎疾患が多い動物です。この副腎疾患を病気という表現が適切なのかどうかも難しいところですが、病気に含めて考えていきます。 副腎は様々なホルモンを分泌する小さな臓器です。この副腎がホルモンを多く分泌するようになり、さらに徐々に大きくなっていくのがフェレットの副腎疾患です。フェレットの副腎は他の動物と比べ、性腺としての機能が高いように思われます。 症状としては、皮膚が荒れてきます。皮膚の脂分が多くなり膿皮症ぎみになっていきます。脱毛も目立つ症状です。 尻尾や後ろ足の周囲から脱毛は始まりひどくなると全身の脱毛に発展します。このような症状が出てくると、元気や食欲がなくなっていきます。さらに悪化すると、おしっこが詰ってしまったり、貧血になったりと、命に関わる状態に発展します。 季節や個体によって症状に波はありますが、治療しなければ症状は徐々に進んでいきます。症状が軽いうちであればホルモン療法は極めて有効です。 副腎疾患の治療 ホルモン療法(内科的療法・LH-RH製剤)が効果的! |
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副腎は左右一対の臓器で、副腎疾患は左右がシンクロしている場合が多いです。左側だけ、右側だけが特に大きくということもありますが、基本的には左右が同時の症状が出ていると考えてよろしいかと思います。外科的な対応方法もありますが両方摘出する事は出来ません。基本的には内科的な治療が優先されます。 ホルモン療法(LH-RH製剤) 料金 1回 \8,000 ( 2頭同時の場合、1頭 \7,000 3頭同時の場合、1頭 \6,000 ) 副腎疾患はフェレットと飼い主さんにとっての大きな問題です。さくっと治るような病気ではなくうまく付き合っていくタイプの病気です。 定期的な健康診断(年二回、春と秋に診せてください)の際に全身状態の確認、副腎の大きさの確認を行います。 ※正確なデータ、確証は取れていませんが、3歳以降は副腎の疾患の症状が出ていなくても、LH-RH製剤の先行投与は有効と思われます。 当院では1歳以降,年3-4回の投与を推奨しています。 |
インスリノーマ | |
右の写真はインスリノーマに特徴的な後肢です。 後肢に力が入らず、姿勢保持が出来ない状態。ナックリングを起こしています。診察台の上は滑やすいため、歩こうとすると平泳ぎのようになってしまうことが多いです。 |
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下の写真はぐったりフェレットさん。 ぱっと見で低血糖が疑われたため、採血の後、すぐに糖液を飲ませているところ。このときの血糖値は「34」、40以下まで低下すると戻らない発作が高率に起こります。 |
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膵臓の一部が腫瘍化することによって起こる病気です。イヌやネコ、ヒトでも極めて稀な病気ですが、フェレットでは珍しくありません。 インスリンは血液中の糖を細胞内に引き込む作用があり、血糖コントロールの柱です。このインスリンを分泌する細胞が腫瘍化することにより起こる病気です。インスリンが過剰に産生されると、血液中の糖がガンガン使われてしまい低血糖になってしまいます。血液中の糖分は消費と供給のバランスがコントロールされていますがそこを無視して消費してしまうため、「ガス欠」状態に陥ってしまいます。 初期の段階では明確な症状はありません。元気がなくなった、寝てばかりいる、年取ったのかな? など飼い主さんもなんとなく調子が思わしくないのは認識していることが多いです。さらに進行すると、口元を引っかくようなしぐさや後肢に力が入らないような動きをすることが多いためこのような症状が出てくるようであれば血液検査しましょう。 インスリノーマは完治することは困難ですが大部分は内科的治療によってほぼ寿命まで生きることが出来ます。 |
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インスリノーマの治療 治療の主力はステロイド ステロイド性消炎剤はインスリノーマに有効です。血液中の糖が細胞内に引き込まれるの作用を緩和させてくれます。治療の中核はステロイドになります。 困ったことにステロイドというと悪の化身みたいな扱いをされています。ステロイド=悪 というイメージが先行しています。決してステロイドが安全性の高い薬であるとは言えませんが、使い方次第ですがそれほど毒性の高いものはありません。定期的な血糖値の測定から最小限の用量を考えていきます。ステロイドより低血糖発作の方がはるかに恐ろしいです。 薬だけはインスリノーマと向かい合うには足りません。食餌の与え方も低血糖をおこさないためには重要な部分です。通常の食餌以外にも、粉ミルクやバイトなど栄養価の高いものを間食させるようにしましょう。 |
多血症 | |
フェレットの血液は他の動物と比べてちょっと濃いです。ヘマトクリット値(血液に占る血球の割合)が正常な個体でも50%前後です。簡単に言えばほぼ半分が赤血球、半分が水分です。 もともとちょっと濃いめの血液をしているフェレットですが、さらにどんどん濃くなってしまう場合があります。ぐったりフェレットさんの血液検査結果ではヘマトクリット値が60%以上の個体も珍しくありません。そうなると血液の粘調度が高くなり細い血管では血液が流れなくなります。また血液は血管の中でも凝固・線溶を繰り返していますが、濃い状態では凝固系が亢進し血管内で固まってしまう危険が高くなります。 血管が細かく枝分かれするような臓器、肝臓や腎臓などに深刻なダメージを与えます。多血症のフェレットは肝酵素系が突出した値になっている場合が多いです。 |
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この写真は多血症のフェレットの血液。遠心分離した後の写真です。ほとんど血清が浮かないのが確認できます。検査にはもっと血液が必要でしたが、採血した注射針の中で血液が固まってしまいました。 | |
この写真はこの血液の血球計算機での検査結果。赤血球が1400万、ヘマトクリット値が65.6。採血しているうちに固まるため、血小板は2.9と低値になってしまいます。イヌやネコと比較するとすごい数値ですが、多血症のフェレットの典型的な血液検査結果です。 |
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多血症の治療 血管の中で固まらせないために 基本的には水分補給。水を飲んでくれればいいのですが、飲んでくれていたらこんな状態にはなっていません。皮下点滴でのしっかりした水分供給が必要になります。まず薄めることで血液が固まらないようにします。点滴は数日間連続で行います。あまりにも濃い場合は全身麻酔下で太い血管から血液を抜く方法がありますが、そこまで濃い場合は衰弱していることが多く危険性が高く麻酔がかけられないことが多いです。 多血症は点滴だけでは足りません。固まらない状態を維持するためには線溶系を亢進する作用のお薬、細い血管を広げるお薬などの投薬が必要となります。 |
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胃内異物・腸管内異物 (毛玉・誤食) | |
フェレットの病気というとちょっと違いますが、胃内異物・腸管内異物は本当に危険です。いろいろ食べてしまうし、毛玉は詰まるし・・・フェレットさん、問題多いです。 まず誤食から。食べられないものを食べてしまうのが多いのはみなさんご存知かと。 消化されないものを食べてしまうのは当然ながら危険です。胃に入っていても嘔吐を繰り返し衰弱してしまいますし、フェレットの腸は細いので腸で詰ってしまうことも少なくありません。早急に取り除かなければ命に関わります。 食べたものを考察すると、お風呂のマットとか靴の中敷とか、むにむにしているのもが多いように思われます。歯応えがいいのでしょうか???飼い主さんに取り出したものを確認してもらっても何だかよくわからない場合が多いです。フェレットの飼い主さんはみなさん誤食に対して意識されている方が多いので飼育環境には食べてしまうようなものは置かないようにしていますが、思わぬものを食べてしまうため防ぐことが難しいのが実状です。 次に毛玉です。ネコもフェレットも毛玉が出来ることは知られていますが、ネコの場合は大部分吐き戻します。また便に毛の塊が含まれていることも。飲み込んでしまってもある程度は何とかなるのがネコ。でもフェレットは何とかならない場合があります。 フェレットは胃の容量に対して腸管が細いように思えます。胃で出来た毛玉が腸管で詰ってしまうことがあります。吐き戻してくれるといいのですが、がっちり固まった毛玉は吐き戻すのも困難、長らく胃にあった毛玉が小腸に流れると詰ってしまいます。 |
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嘔吐を繰り返すフェレットさん。 ちょっとぐったり気味。 吐き続けるけど何も出てきません。 |
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●バリウム造影検査 触診で胃に何かあるように思えたためバリウム造影検査を実施。 |
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写真はバリウム造影前の単純エックス線写真。 この写真では胃の中の状態はわかりません。 特に大きな異常は認められません。 |
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バリウムを飲ませて1時間後のエックス線写真です。胃がはっきりと造影されています。 胃に留まっていたバリウムが腸に流れ出したところ。胃に沢山何かが入っていることが確認できます。 |
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さらに2時間後の写真。バリウムの大部分は大腸 に流れました。胃の部分、馬蹄形にバリウムが薄っすら残っています。胃の中に大量に何かがあることが確認できました。 |
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吐き戻せないものが胃の中にあると判断し、開腹手術を実施しました。胃の内部には1cmくらいの欠片が沢山入っていました。出てきたものは左の写真のとおり、たいていの胃内異物は取り出してみても何だかわからないことが多いです。 シリコン??コーキング剤??よくわかりませんが食品ではなく工業製品のようでした。 |
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誤食ではありませんが、胃内での毛玉の形成もフェレットにとっての脅威です。 写真は吐き戻してくれた毛玉です。7-8cmくらい。この大きさの毛玉が胃から腸に流れると詰ります。腸閉塞は短時間で急速に悪化するので開腹手術で取り出さなくてはなりません。 毛球は胃の中に長い時間をかけて出来てしまいます。胃酸に長時間曝されるため、毛玉の毛は変性してがっちり固まったような、体表に出来る毛玉とは全く違う毛玉になってしまいます。 |
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フェレットの消化器疾患は、一般的な病気以外に、フェレットの行動・飼育環境等を考慮して診察していかなければなりません。 飼い主さんが異常に気がついてもはっきしした症状ではないため様子を見てしまう場合も少なくありません。 消化管内異物は時間との戦いです。異常があれば早めに診察を受けてください。 |
外耳炎 | |
いままでは命に関わるようなレベルの病気・状態でしたが、外耳炎はそこまでの問題ではないものの、痒さは生活の質を著しく低下させます。 フェレットの外耳道は、なんかヘンなかたち。きしめんのようなかたち?といいましょうか、平べったく細長いので、耳が立っている割には通気が悪く大部分のフェレットさんは外耳炎です。黒い耳垢がついていて、皮膚炎になっていることが多いです。おうちのフェレットさん、耳を痒がっていませんか?? 耳道はバイキンにとっては格好の住処。温度も湿度も栄養もあり敵が来ません。黒い耳垢の正体はカビの仲間です。マラセチアという真菌が沢山増えると黒い耳垢が増えます。でも耳掃除はお勧めしません。綿棒でぐりぐりすると皮膚の表面が荒れてしまい、汚れは取れても炎症がひどくなることが多いです。皮膚が荒れるとバイキンが増え黒い耳垢が増えるといったスパイラルに陥ります。 バイキンをやっつければ耳は汚れません。耳掃除で汚れを落とすのではなく、衛生的な環境を維持すれば耳はきれいになります。 |
1、年2回(春・秋)の健康診断 3、1歳以上は年2回以上のリュープリン投与 4、歯石がついている場合は歯石除去。 |
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